米国企業の目先重視経営の真意とインテルのお話
米国企業は、株主重視であり、それにとらわれて経営が目先的である、それに比べて日本企業は中長期的な視点で技術開発をしっかり行っており素晴らしいというような声を耳にします。
直近では、「企業が長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員や取引先も恩恵を受けられる『三方良し』の経営を行うことが重要。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進める」というお声が政界から聞こえます。「株主だけでなく」とありますが、日本では株主はゴミ、財布のように扱われている気がしますので、それは違うといいたいところですが・・・(その根拠は日本上場企業全体の株式数の増減において傾向として、発行超過であり、米国はその逆の消却超過であることです)
何故、米国は目先的と感じるか
そうはいっても、実際に決算などへの反応の仕方に、目先的かな?と感じることはなくはありません。例えば、これからAlder Lakeの次期CPUで巻き返しを図ろうとしているインテルに対し、将来への投資で目先、利益が落ち込むと正直に告白したとたん、1日で11.68%の株価下落となっています。しかし、日本でいわれる「目先」と、米国で考えている「目先」は、考え方が少し違うのだと半分は私の感覚的な話ですが、そう思っています。
それは、日本でいう「目先」とは、その意味の通り、目先の利益にとらわれて、将来を犠牲にという話ですが、米国視点でみると、米国は投下資本に対する要求リターンが高く、早いとこ利益を上げてくれないと、将来の利益なんてWACCで割り引かれてしまうから、将来の利益なんて、微々たる増益なら興味ないよ、といった感じなのだと思います。テスラぐらいの爆発的成長力の場合は、将来の利益が極めて大きいと想定されているため、現在価値に割り引いても、将来投資に価値があるとみないしていると思われ、逆に日本の場合は、投下資本に対するリターンという概念が薄いため、遠い将来の利益微増でも賞賛されてしまうというのが、米国経営はけしからん!につながっているのではと感じます。米国も将来、WACCの割引を考慮して、十分なリターンがあるなら、目先が犠牲にして将来の大きな果実を得たいと思っており、投下資本に対するリターンの効率性への考えの違いが、米国株主価値経営けしからん!につながっているように思えます。昔から日本では米国株主価値経営へのネガティブな批判がみられますが、これだけ米国企業が高い資本効率をもとに成長し、日本企業が低い資本効率にて衰退する中、日本は考え直しても良いのではと思うのですが、、、少し難しいというか、説明が下手だったかもしれませんが、趣旨だけでもなんとなく理解してもらえたら嬉しいです。
ところでインテルは・・・
決算を受けて急落したインテルですが、次期CPUであるAlder Lakeが11月にリリースされます。その後も微細化プロセスを使用したCPUのリリースも「予定」されており、GPUもラインナップされます。色々と素晴らしいビジネス戦略を掲げていますが、インテルの場合はその時間軸に加え、本当にできるの?という疑念が市場からついていると思われます。例えば早速、色々と素晴らしいビジネス理論を述べておいて半導体受託製造のGFを約3兆円で買収するといっていた矢先、買収失敗でGFはIPOへという流れになっていますし、過去にも、やるといってできなかったことが多いのがインテルです。インテルは、発言と行動がリンクしていくか、そしてその時間軸がどの程度で進行するか次第の銘柄といえそうです。
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