紫光集団の債務再編

7月9日に、紫光集団が裁判所に債務再編の届け出をした「模様」です。それに対し13日、アリババグループHDなどが紫光の株式を最大77億ドルで取得することを検討と報道されています。
紫光集団は中国の清華大学が51%を出資する半導体企業であり、実質的に中国国営の半導体企業といえ、まさに中国の国家戦略ともいえる企業、だと認識しております。皆さまご存じのように、中国は絶対やる!大事!と決めたことは国家の力をもってやり遂げようとします。昨今の時代の流れ、軍事産業の発展を考えても、半導体企業である紫光集団は極めて重要企業なはずです。それがこのような事態に陥っていくのは衝撃的なわけです。
一方で、インテルが最近急に2兆円も投資してアメリカ国内に工場建設だとか、半導体を受託生産するGlobalFoundriesを3兆円で買収しようかなとか、急速に世界が動き出しています。

不平等だったといわざるをえない日米半導体協定

かつて日本は半導体で世界を席巻していた、と聞いております。そして何度聞いても耳を疑いますが、日米半導体協定を締結したことで、外国製半導体シェアを20%に引き上げる目標が課され、今考えてもわからないのが、価格決定権を日本が剥奪されたことです。意味がわかりません。アメリカは素晴らしい国家かと私は思っておりますが、半導体といい、自動車といい、意外と負けそうになると「総合力」に出てきます。近年では中国に対するファーウェイなどに対する市場締め出しであったり、昔から変わらない、この良い悪い別にして、総合力があるように思えます。その新たな被影響者の一つがこれも良い悪い別にして、紫光集団であり、心配なのは、半導体という国家戦略を遂行するために、中国は次にどういう動きをしてくるのかです。特にTSMCを擁する台湾とどう向き合っていくのか、常に目を配る必要があるでしょう。なおTSMCは微細化技術で世界を圧倒しており、サムスンがくらいついているぐらいで、インテルぐらいになると、既に技術的に置いてけぼりであり、先ほどの投資も、正直、微細化技術にあれだけ差があるのに、その投資意味あるの?と思わざるをえないほど圧倒的です。インテルはAMDにもキャッチアップされつつあったり、本来は世界の王者としてもっとCPUの発展の加速をお願いしたいと思っております。

生産技術の日本企業、設計・開発の米国企業を買う

さてそれらを投資行動につなげていきたいかと思いますが、常に変わらぬ真実のようなもの、それは日本企業は「生産技術」において世界のトップを走れ、「開発・設計」は米国が世界トップを走る傾向にあることです。日本の半導体・自動車がやられたときも日本は物を正確に、効率的に安く生産する「生産技術」が圧倒的なのです。モノづくり日本とは、生産技術を指すと考えます。一方で設計・開発力は微妙であり、逆にアメリカは「開発・設計力」が突出しており、生産技術が微妙です。テスラも自動化運転テクノロジーにあたる開発力はありますが、自動車の組み立ては上手くなく、もはや興味ないのか、インテル然り、生産技術が弱いのです。ですから、日本株を買う際は、生産技術で世界シェアが高い企業かつ、アメリカの総合力、つまり国家の判断でやられにくい企業を選択するのが良い選択であり、朝日インテックはまさにその部類でしょう。アメリカ企業であれば、「開発・設計」が強く、「生産技術」が弱いという特性を捉えれば、ファブレスもしくはで製品開発力主軸でなりたっているビジネスを行う企業、例えばNVIDIAのような企業が魅力的でしょう。昨今躍進目覚ましいAMDも、ファブレスに変更してインテルのシェアを食べている現状です。この観点は、日米に投資するにあたり、結構良い視点であると思っております。それに波乱要因として、今回の紫光集団の件は頭に入れておきたいところです。

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モデルナのその後

先日、モデルナのmRNA技術の素晴らしさに言及しましたが、そのモデルナがmRNA技術にてHIVワクチン含め、ワクチン市場を破壊かという報道が出ています。つまり、ウイルスワクチンをmRNA技術で発展させるという趣旨です。ファイザーなども対抗してくるでしょうが、mRNA技術については引き続き注目の価値があり、これにAIによる創薬が組み合わさったときは、その注目度は何倍にもひきあがることでしょう。

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